耐切創製品(手袋・エプロンなど)の基礎知識

Cut-Resistant

作業員の身体を
「切創」から守る

切創とは、刃物やガラス片などによる切り傷のことです。工場や工事現場では刃物や鋭利な物体を扱うことが多いため、作業員の身体や生命を守るために「耐切創」製品が欠かせません。

近年、製造業界では作業員の安全を守るために耐切創製品がますます重要になっています。切創は傷の深さや部位によっては重大な事故につながることも多く、そうした事故が起これば作業員を危険にさらすのはもちろん、作業全体の効率にも深刻な影響を与えるためです。

耐切創製品はこうした切創事故から作業員を守り、作業効率の低下を防ぎます

Influence・
Measures

労災事故の上位を占める
切創事故

厚生労働省が発表した「令和4年労働災害発生状況の分析等」によると、令和4年に報告された労災事故のうち「切れ・こすれ」は5番目に多い7,500件となっています。具体的な事例としては、以下のようなケースがあります。

  • 工事現場で運んでいた際に、角材の端で腕を負傷する

  • 自動車部品をとりつける際に、誤って部品の角で手を切る

  • 端のするどい基板を扱うときに、着けていた手袋が切れ出血

  • 竹林で間伐作業中、チェンソーがキックバック(跳ね上げ)して足を負傷する

  • 帯鋸盤を動かしたまま盤上の清掃をしようとして、回転している刃に手が当たる

  • 電動丸ノコを使用して作業中、回転中に歯に手が触れる

  • 電動サンダーでの作業中、サンディングディスクが手首に触れる

  • 食パンをスライスしていた際、指が刃に接触する

  • 調理道具立てを倒してしまい、調理台から落下した包丁が足の甲に刺さる

  • 業務用ピーラー(皮むき)で人参をスライスしていた際に指先を切る

  • 惰性回転中の挽肉機カッターに指が接触する

  • 事務用カッターで厚紙を切断中に親指を切る

  • カッターの替え刃を素手でつかんでしまう

  • ガラスの破片を誤まってつかんでしまう

POINT

耐切創のポイント

切創事故は、作業者の体調不良や作業の中断、長期の休養など、生産性低下の大きな要因となります。また、重傷を負った場合、企業は医療費や労災補償費用を負担しなければなりません。このようなリスクを防ぐための最良の対策は、事前の予防策を講じることです。その中でも特に効果的な手段が、耐切創製品の導入です。

About

耐切創製品とは?

耐切創とは、切創、つまり切り傷から人体を守ることです。耐切創機能を備えた製品としては「手袋(グローブ)」や「手甲」「腕カバー」「脚絆」「前掛け(エプロン)」などが挙げられます。これらの製品はアラミド繊維などの特殊な繊維を用いることで、切創事故を未然に防ぐことが可能です。

  • アラミド繊維について

    アラミド繊維

    アラミド繊維は「耐切創」に加え、耐熱や耐久にすぐれた繊維素材です。特に「パラ系アラミド繊維」と呼ばれるものは、耐切創性や耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性にすぐれていて、多くの耐切創製品に使われています。引張強度はスチール繊維の8倍でありながら、比重は5分の1と軽量なのもパラ系アラミド繊維の大きな特徴です。

  • 高強度ポリエチレン繊維(HPPE)について

    ポリエチレン繊維

    高強度ポリエチレン繊維は「耐切創」に加え、引張強度や耐薬品性、耐候性に優れた高機能繊維です。低発塵性でホコリや糸くずなどの発生を抑えられるので、ホコリを嫌う環境下での作業にも最適です。また比重も1以下と非常に軽量です。熱には弱いので、熱職場等では使用できません。耐熱性も求める場合はアラミド繊維の使用をオススメします。

  • 日光物産の耐切創製品

    日光物産の耐切創製品

    日光物産では「アラミドワイヤー入り軍手」をはじめ、アラミド繊維を牛革でカバーすることで耐熱・耐摩擦性能を高めた手袋や、ポリエチレンフィルムを挟み込んで水や油の浸入を防ぐ手袋などをラインナップ。アラミド繊維の代わりに高強度ポリエチレン繊維を使った、低発塵の耐切創手袋も取り扱っています。手袋以外では、アラミド繊維100%の手首ガードや腕カバー、手甲、脚絆、前掛けなどもあり、用途や場面に合わせてお選びいただけます。

How to choose

耐切創製品を選ぶポイントは「使用環境」と「レベル」の2点です。

使用環境

まず使用環境については、たとえば以下のようなケースが考えられます。

  • Case01

    回転のこぎりや旋盤、サンダーなどの電動工具を扱う

  • Case02

    包丁やカッターなどの刃物を扱う

  • Case03

    鋭利な金属片やガラス片を取り扱う

  • Case04

    廃棄物収集、処理作業

  • Case05

    電子、精密機械の組立

上記はあくまで一例ですが、これらの用途をすべて同じ耐切創製品で行うのは現実的ではありません。
火気の多い場所なら耐熱性能も必要ですし、水気が多い場所なら防水性能が役立ちます。
いくら耐切創性能が高くても、使いにくい製品を無理に使うと作業効率が落ち、かえって不注意から事故を起こす危険が高まります。

レベル

耐切創性能の関係のある国際規格が「EN388(EN388:2016) 」です。EN388:2016は作業用手袋の物性強度規格で、以下の6項目について評価を行います。

  • ①耐摩耗性:摩擦に対する耐久レベルを4段階で評価します
  • ②耐切創性(Coupe test):丸形の刃による耐切創レベルを5段階で評価します
  • ③耐切創性(TDM test):直線の刃による耐切創レベルを6段階(アメリカでは9段階)で評価します
  • ④耐引裂性:引張強度のレベルを4段階で評価します
  • ⑤耐突刺性:突き刺しに対する耐久レベルを4段階で評価します
  • ⑥耐衝撃性:衝撃に対する耐久レベルを「合格・不合格」で評価します

耐切創のレベルは高いほど高性能ですが、レベルが高ければ良いというものではありません。
一般に耐切創性能の高い製品は着け心地や重さ、動かしやすさなどに影響が出るため、細かい作業などを行う現場では作業効率を落とすことになるでしょう。もちろん、リスクの高い場所ではそれに見合ったレベルの耐切創製品が必要です。 加えて、上に挙げた「耐摩耗性」や「耐引裂性」「耐突刺性」「耐衝撃性」なども考慮しましょう。実際に耐切創製品を選ぶ際は、求められる耐切創レベルと他の性能(機能)とのバランスを考えることをおすすめします。

メンテナンス

メンテナンス

耐切創製品に限らず、すべての防護具にはメンテナンス(たとえば洗濯など)が欠かせません。メンテナンスしにくい製品は寿命が短くなり、早々に機能が低下するか、買い替えのためにコストがかかってしまいます。こまめにメンテナンスできるか(しやすいか)も考えて、最適な耐切創製品を選びましょう。

Products

耐切創製品の製品一覧

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