防護服の基礎知識

Protective-wear

安全確保の第一歩は
「防護服選び」から

ひとくちに防護服といっても、有害化学物質から着用者を保護する防護服や感染予防用の防護服などさまざま。
防護服の効果を最大限に発揮するには、使用する場面に応じた防護服選びが大切です。

防護服について、
こんな疑問はありませんか?

ほとんどの人は、防護服について詳しい知識をもっていません。
ニュースなどで防護服を着用しているシーンを見ることはあっても、防護服に様々な種類があることや、対応できるリスクにグレードがあることを知らない人は大勢います。
ですが、もし自分自身が防護服を必要とする環境で作業することになった場合「知らない」では済ません。
事故や健康被害の発生を予防するためにも、まずは防護服について「正しい知識」を得ることが必要です。

Knowledge

防護服ってどんなもの?

まず最初に、防護服とはどんなものかを確認しましょう。防護服とは危険有害因子と呼ばれるさまざまな危険物質から人体を守るために身体の一部または全部を覆う衣服です。防護服は危険物質の透過・浸透を防止することで、それらに作業者がばく露することを防ぎます。

危険有害因子について

防護服は、さまざまな危険有害因子から着用者を防護します。危険有害因子とは人体に被害を与える要因のことで、たとえば以下のようなものが含まれます。

危険有害因子

  • 酸・アルカリ
  • 有害な化学物質(アスベスト、ダイオキシンなど)
  • ウイルス・細菌
  • 放射能

これらの危険有害因子の中には、脅威の度合いに応じてレベルが認定されているものもあります。
・アスベスト レベル1~3
・ダイオキシン レベル1~4 など

危険有害因子

危険有害因子と防護服の関係

防護服の多くは複数の危険有害因子に対応可能ですが、それでもすべての危険有害因子、すべてのレベルに対応しているわけではありません。
むしろ脅威の種類や程度に応じて、専用の防護服が用意されていることが一般的です。

国際標準化機構が作成するISO規格や、それに基づくJIS(日本産業規格)では、危険有害因子の種類によって対応する防護服の規格が詳細に定められています。

化学防護服に関する日本産業規格 JIS T 8115:2015 に適合するバリアーマン

種類 概要 対応するバリアーマン
タイプ3タイプ3 液体化学物質から着用者を防護するための構造の全身化学防護服 C8050
タイプ4タイプ4 スプレー状液体化学物質から着用者を防護するための構造の全身化学防護服 C8050 / P3050
タイプ5タイプ5 浮遊固体粉じんから着用者を防護するための構造の全身化学防護服 C8050 / P3050 / P3040 / P6040 / B5540 / B5040
タイプ6タイプ6 ミスト状液体化学物質から着用者を防護するための構造の全身化学防護服 C8050 / P3050 / P3040 / P6040 / B5540 / B5040
種類 / タイプ3 タイプ3

液体化学物質から着用者を防護するための構造の全身化学防護服

C8050

種類 / タイプ4 タイプ4

スプレー状液体化学物質から着用者を防護するための構造の全身化学防護服

C8050 / P3050

種類 / タイプ5 タイプ5

浮遊固体粉じんから着用者を防護するための構造の全身化学防護服

C8050 / P3050 / P3040 / P6040 / B5540 / B5040

種類 / タイプ6 タイプ6

ミスト状液体化学物質から着用者を防護するための構造の全身化学防護服

C8050 / P3050 / P3040 / P6040 / B5540 / B5040

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How to choose

アスベストやダイオキシン、インフルエンザウイルスやコロナウイルスなど、危険有害因子に触れる可能性がある環境で作業を行う場合は、基準を満たした防護服を選ばなくてはなりません。 特に2023年4月と2024年4月に施行された「新たな化学物質規制の制度」では、一部の作業環境でこれまで「努力義務」とされてきた保護具の使用が、「義務」になりました。事業者は最新の法令をしっかり理解して、環境に適した防護服を選ぶようにしましょう。 では具体的に、どのように防護服を選べば良いのでしょうか?

  • 保護が必要な部位で選ぶ

    防護服にはガウンタイプのものから、前掛け(エプロン)のように部分的に身体を保護するタイプ、全身を覆うタイプなど、いくつもの種類があります。どのタイプを選ぶべきかは、危険有害因子の種類やレベル、そして「保護すべき部位をしっかりカバーできるか?」によって選びましょう。

  • バリア性で選ぶ

    化学薬品などを内部に浸透させない、粉塵を通さないといったバリア性能も防護服を選ぶ際の重要なポイントです。上で紹介した「JIS T8115:2015化学防護服」の表などを参考に、危険有害因子の種類に対応する性能の防護服を選んでください。

  • 耐久性で選ぶ

    完璧な防護性能を持つ防護服でも、使用中に穴や破れが生じてしまっては意味がありません。特に建物の壁や床との摩擦が大きい作業や、周囲に防護服の布地をひっかけそうな突起がある場合、摩擦耐性やひっかき耐性の高い防護服を選ぶ必要があります。

  • 快適性で選ぶ

    一般的に、防護服は快適性が二の次です。たしかに重要なのは快適性よりもバリア性能ですが、それでも着心地の悪い服は作業効率に悪影響を与えるため、同等のバリア性能を持つ防護服同士で比較する場合は、少しでも着心地の良いもの、使用者の体格に合ったものを選びましょう。

  • コストで選ぶ

    現実問題として、コストも重要です。もちろん品質を犠牲にしてコストを下げた防護服では意味がありませんが、あまりにもコストがかかる防護服では十分な数を揃えることができず、作業効率の低下につながります。また必要な防護服が全体に行き渡らず、作業員を危険にさらす可能性もあるでしょう。当社のバリアーマンシリーズのように、高品質と低コストを両立した製品を選んでください。

How to use

着用方法

装着前の確認事項

  • 防護具の破損や使用済みの製品を使用していないかを確認する。
  • 消毒液や産業廃棄用袋を準備する。
  • 空気の流れを確認し、風上の新鮮な空気が流れている場所で着衣を行う。
  • インナーはできるだけ軽装で、長袖を着用することが好ましい。腕時計やベルトなど、防護服を傷つける可能性のある貴金属は外す。
  • 着用の際にはなるべく二人一組で行うこと。
  • 互いに肌が露出していないか、特に鼻や頬の部分に隙間がないかを入念に確認を行うこと。
  • インナー手袋の装着

    • 装着の前に手袋に破損がないか、息を吹き込んで確認する。(この時、アウター手袋も同様に確認しておく。)
    • 袖口を覆うようにインナー手袋を着用する。
    • 必要に応じて、袖口をテープで固定する。(剥がしやすいようにテープの端を折る。)
  • 化学防護服の仮装着

    • 靴を脱いで、足から着る。
    • ファスナーを胸まで上げ、フードはまだ被らない。
  • シューズカバーの装着

    • 防護服の裾の上からシューズカバーを履く。
    • 裾が覆えたことを確認したら、シューズカバーの紐をしっかり結ぶ。
  • 防護マスクの装着

    • 2本のゴム紐を首元、耳上でしっかり固定する。
    • 鼻当てを人差し指で押し込む。
    • 隙間から空気の侵入が無い事を確認する。
  • 保護メガネの装着

    • 髪の毛を挟まないように注意する。
    • しっかり密着していることを確認する。
  • 化学防護服の装着

    • 髪の毛が出ないようにフードを深く被り、ファスナーをあごの上まで完全に上げる。
    • 引き上げたファスナーが、あごの下側に密着するように調整する。
    • 装着されているテープで比翼を張り付けて密閉する。
    • 同様に、チンガードも、しっかり張り付ける。
  • アウター手袋の装着

    • 防護服の袖口をしっかり覆うように
    • アウター手袋を深く着用する。
    • 必要に応じて、袖口をテープで固定する。(剥がしやすいようにテープの端を折る。)

脱衣方法

脱衣前の確認事項

  • 消毒液と産業廃棄用袋があることをもう一度確認する。
  • 感染面(防護服の表面)に極力触れないように注意する。
  • 空気の流れを確認し、風上の新鮮な空気が流れている場所で脱衣を行う。
  • 脱衣の際もなるべく二人一組で行うこと。
  • 脱衣完了後は速やかに新鮮な空気のある風上へ移動する。
  • その際に、目や鼻などの粘膜に触れないように気を付ける。
  • 手・顔を洗い、うがいを忘れないこと。
  • シューズカバーの仮脱衣

    • アウター手袋、シューズカバーを消毒する。
    • シューズカバーの紐を解き、内から外に少しめくる。
  • アウター手袋の脱衣

    • 手(アウター手袋)を消毒する。
    • テープで固定している場合は端の折り目をつまみ、テープを外す。
    • 片方の手袋を裏返しながら途中まで外し、裏返った手袋も同様に途中まで外す。
    • 両方の手で、端を掴み裏返し丸めるように外していく。
    • アウター手袋は産業廃棄用袋に入れる。
  • 化学防護服の脱衣1

    • 手(インナー手袋)を消毒する。
    • チンガードと比翼を破れないように外し、ファスナーを一番下まで下げる。
    • もう一度、手(インナー手袋)を消毒する。
    • 身体に触れないよう、内側に指を掛けてフードを外す。
  • 化学防護服の脱衣2

    • 手(インナー手袋)を消毒する。
    • 肩側から、防護服を裏返しながら腕のあたりまで脱ぐ。(必要な場合は介助を頼む)
    • 後ろ手で片腕を脱ぎ、脱いだ手で前からもう一方の腕も脱ぐ。
    • 内から外に巻き込むように防護服を足元まで下ろしていく。
    • 防護服とシューズカバーを一度に脱ぎ、産業廃棄用袋に入れる。
  • 保護メガネの脱衣

    • 手(インナー手袋)を消毒する。
    • 保護メガネの縁を持ち、ゆっくり前に出すように持ち上げて外す。
    • その際に、保護メガネが衣類に触れないように注意をする。
  • 防護マスクの脱衣

    • 首元のゴム紐に指を掛け、後ろに引き、持ち上げながら外す。
    • 同様に耳上の紐も外す。
    • マスクの表面に触れないこと。
  • インナー手袋の脱衣

    • 手(インナー手袋)を消毒する。
    • テープで固定している場合は、端の折り目をつまみ、テープを外す。
    • 片方の手袋を裏返しながら途中まで外し、裏返った手袋も同様に途中まで外す。
    • 両方の手で、端を掴み裏返し丸めるように外していく。
    • 脱いだインナー手袋は産業廃棄用袋に入れる。

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Scene

防護服は単なる「衣類」ではなく、信頼できる安全対策の一部として、人々の生命と健康を守る役割を果たしています。
具体的な利用場面と、その場面で必要とされる機能の例を紹介します。

工場

防護服が使われる代表的な場所として挙げられるのが「工場」です。
工場にはさまざまな種類の危険がありますが、防護服はそれぞれの危険に応じて、以下のように作業員を守ってくれます。

  • 化学的な危険

    化学物質の飛散や漏れ、接触による化学的損傷から身を守ります。化学防護服、防護マスク、防護めがねなどが該当します。化学工場や研究所などでは、特に危険な化学物質を扱う場合、防護服が必須となります。

  • 生物的な危険

    感染症の病原体などの生物的脅威から作業員を守るために使用されます。医療施設だけでなく、食品工場や化学工場でも生物的脅威から作業員を守るための防護服が必要となる場合があります。

  • 放射線

    放射能を発する物質を扱う工場では、放射線から作業員を守るための防護服が必要となります。

工事現場

工事現場でも防護服は広く使われています。以下にその主な使用例と対応する脅威を説明します。

特定の工事現場では、有害物質が塗料などに含有されていたり、アスベストやダイオキシンなどの有害な化学物質や塵を発生する可能性があります。これらから作業員を守るためには防護マスクや防塵マスク、保護めがね、化学防護服が使用されます。作業員の安全と健康を確保するためには、防護服の適切な使用と管理が必要です。

医療

医療機関も防護服がよく使われる場所です。以下に具体的な用途とそれが対応する脅威について詳しく説明します。

全ての防護服は、医療従事者の安全を確保し、感染症や他の危険から身を守るために重要です。
また、医療従事者自身が感染源となって患者に感染症を広めないようにする役割もあります。それぞれの防護装備は特定のリスクに対応するよう設計されており、
適切な使用と管理が求められます。

  • 感染症

    患者からの感染症の病原体を防ぐため、医療従事者は防護服を着用します。特にエアロゾルを通じて感染する病気、例えば結核やインフルエンザ、新型コロナウイルス等に対しては、N95マスクや防護ゴーグル、防護服(ガウン)、手袋などを使用します。

  • 体液・血液

    手術や治療、採血時などに患者の体液や血液に触れる可能性があるため、それらから医療従事者自身を守るために防護服を使用します。血液感染を起こす可能性のある疾患(例:HIV、B型・C型肝炎)からの保護が特に重要です。

  • 化学物質

    特定の薬剤や消毒液などの化学物質を扱う際には、それらから皮膚を守るために防護服や手袋が使用されます。

その他

他にも、防護服はいろいろなケースで使われています。簡単に、そのうちのいくつかを紹介します。

  • 研究施設やラボラトリー

    科学実験や研究の際には、実験者を有害な化学物質や生物学的物質から保護するために防護服が用いられます。通常、実験コート、防護めがね、手袋などが使用されます。

  • 消防・救急サービス

    病原体からの感染や有毒ガスの漏れなどの事故現場では、消防士や救助隊員が特殊な防護服を着用します。これには、化学物質や病原体から保護するための防護服や保護めがね、手袋などが使用されます。

  • 軍事・警察

    化学、生物、の事故や攻撃から身を守るため、軍や警察は特殊な防護服を着用します。また、防弾チョッキやヘルメットは直接的な脅威から身を守るための装備です。

  • 農業

    農薬を散布するときなど、農作業者は化学物質から身を守るための防護服やマスクを着用します。

  • 清掃作業

    特に有害物質を扱う場合、公衆衛生を確保する目的で防護服を着用します。

Products

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