ダイオキシン対策のための防護服選びについて

Dioxin

焼却施設の運転、点検、解体作業等で必要とされる防護服

焼却施設の運転や点検作業などを行う場所では、ダイオキシン類ばく露する恐れがあるため、
厚生労働省が通達した条件に適した防護服の選択と使用の徹底が必要となっております。

About

ダイオキシンの性質と毒性

ダイオキシンは正式にはPCDD及びPCDFにコプラナーPCBを含めて「ダイオキシン類」と定義されています。ごみの焼却や塩素による紙の漂白工程、また農薬などの化学物質を製造する際の副産物として生成してしまう有機系塩素化合物で意図的に作られることはありません。
ダイオキシン類は無色の固体で、水に溶けにくく、蒸発しにくい反面、脂肪などには溶けやすい、酸やアルカリなどの他の化学物質と反応しにくい、という性質があります。ダイオキシン類は自然環境中で分解されにくいため、環境に放出されると土壌や水環境に長期間残留し、食物連鎖を通して濃縮され、生体に影響を及ぼすといわれています。

Countermeasure

  • ダイオキシン類ばく露の影響

    ばく露による影響としては、発がん性を促進する作用、甲状腺機能の低下、生殖器官の重量や精子形成の減少、免疫機能の低下を引き起こすとされています。またWHO(世界保健機関)の国際がん研究機関(IARC)の報告によると、ダイオキシン類は事故などで高濃度ばく露した場合、発がん性があるとされています。ダイオキシン類はものの焼却の過程などで自然に生成してしまう物質で、環境中に広く存在しています。しかし、現在の日本ではダイオキシン類の排出は厳しく規制されているため、日常生活の中でがんになるリスクはほとんどないと考えられています。とはいえ、人の健康に対する影響には不明な点もあるため、ダイオキシン類ばく露の恐れのある作業従事者はばく露防止を徹底して、レベルに応じた化学防護服など保護具の着用や安全管理が重要です。

  • 適切な防護服や保護具を着用

    厚生労働省より平成26年に通達された「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」では、廃棄物焼却施設の作業者へのばく露を防止するために適切な保護具(防護服)の着用することとされています。ダイオキシン類にばく露する恐れのある作業従事者は作業レベルに応じて適切な防護服や保護具を着用することが大切です。

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Selection criteria

化学防護服など保護具の使用区分

焼却施設の運転、点検、解体作業等が行う場所の空気中のダイオキシン類濃度の測定結果や作業内容によって管理区域を決定し、
これに基づいて化学防護服など保護具の使用区分を決定します。

運転、点検等の作業では作業場における空気中のダイオキシン濃度を測定し、管理区域を決定します

作業内容 保護具区分
焼却炉・集じん機等の内部での灰出しや清掃、保守点検作業など レベル2
(第3管理区域であればレベル3)
焼却炉・集じん機等の外部での焼却灰の取り扱い、清掃、運転、保守点検、
支援及び監視など
1pg-TEQ/m3<ガス体測定値 レベル2
(第3管理区域であればレベル3)
ガス体測定値<1pg-TEQ/m3 レベル1
焼却炉・集じん機等の設備の解体等の業務、ばいじん及び燃焼灰等の燃え殻の取り扱い 作業場の作業環境測定による
ダイオキシン濃度によって選択する
作業内容
焼却炉・集じん機等の内部での灰出しや清掃、保守点検作業など
保護具区分:レベル2(第3管理区域であればレベル3)
作業内容
焼却炉・集じん機等の外部での焼却灰の取り扱い、清掃、運転、保守点検、支援及び監視など
1pg-TEQ/m3<ガス体測定値
保護具区分:レベル2(第3管理区域であればレベル3) ガス体測定値<1pg-TEQ/m3
保護具区分: レベル1
焼却炉・集じん機等の設備の解体等の業務、ばいじん及び燃焼灰等の燃え殻の取り扱い
保護具区分:作業場の作業環境測定による
ダイオキシン濃度によって選択する

第2管理区域及び第3管理区域は焼却灰などの粉じん、ガス状ダイオキシン類の発散防止対策として①燃焼・作業工程の改善②発生源の密閉化③作業の自動化や遠隔操作の導入④局所排気装置及び除じん装置の設置⑤作業場の湿潤化を行う必要があります。

解体作業では解体作業が行われる場所の空気中のダイオキシン濃度を
測定結果や汚染物のサンプリング等をもとに管理区域を決定します。

管理区分 保護具区分
保護具選定に係る第1管理区分 レベル1
保護具選定に係る第2管理区分 レベル2
保護具選定に係る第3管理区分 レベル3
保護具選定に係る汚染状況が判明しない
高濃度汚染物(3,000pg-TEQ/g<d)を常時直接取り扱う レベル4
管理区分
保護具選定に係る第1管理区分
保護具区分:レベル1
保護具選定に係る第2管理区分
保護具区分:レベル2
保護具選定に係る第3管理区分
保護具選定に係る汚染状況が判明しない
保護具区分:レベル3
高濃度汚染物(3,000pg-TEQ/g<d)を常時直接取り扱う
保護具区分:レベル4

保護具の区分

保護具区分レベル1
呼吸用保護具 防じんマスク 型式検定合格品であり、取替え式かつ粒子捕集効率が99.9%以上(区分RL3又はRS3)
電動ファン付き呼吸用保護具 JIS T 8157適合品で標準型かつ粒子捕集効率99.97%以上(解体作業及び残留灰除去作業など)
作業着等 粉じんの付着しにくい作業着、保護手袋等
安全靴
保護衣、保護靴、保護帽、安全帯、耐熱服、溶接用保護めがね等は作業内容に応じて適宜使用すること。
保護具区分レベル2
呼吸用保護具 防じん機能を有する防毒マスク又はそれと同等以上の性能を有する呼吸用保護具
(型式検定合格品で、取替え式かつ粒子捕集効率が99.9%以上(区分RL3又はRS3)であり、有機ガス用のものであること)
保護衣(化学防護服) 通常作業では浮遊固体粉じん防護用密閉服(JIS T 8115 タイプ5)で耐水圧1,000mm以上を目安とする。
直接水に濡れる作業ではスプレー防護用密閉服(JIS T 8115 タイプ4)で耐水圧2,000mm以上を目安とする。
保護手袋 化学防護手袋(JIS T 8116)
安全靴または保護靴
保護靴、安全帯、耐熱服、保護帽、溶接用保護めがね等は作業内容に応じて適宜し使用すること。
保護具区分レベル3
呼吸用保護具 プレッシャデマンド形エアラインマスク(JIS T 8153)
プレッシャデマンド形空気呼吸器(JIS T 8155)*面体は全面型面体のもの
保護衣(化学防護服) 通常作業では浮遊固体粉じん防護用密閉服(JIS T 8115 タイプ5)で耐水圧1,000mm以上を目安とする。
直接水に濡れる作業ではスプレー防護用密閉服(JIS T 8115 タイプ4)で耐水圧2,000mm以上を目安とする。
保護手袋 化学防護手袋(JIS T 8116)
保護靴 化学防護長靴(JIS T 8117)
保護靴、安全帯、耐熱服、保護帽、溶接用保護めがね等は作業内容に応じて適宜使用すること。
保護具区分レベル4
保護衣(化学防護服) 自給式呼吸器内装形気密服(JIS T 8115 タイプ1a)
自給式呼吸器外装形気密服(JIS T 8115 タイプ1b)
送気形気密服(JIS T 8115 タイプ1c)
保護手袋 化学防護手袋(JIS T 8116)
保護靴 化学防護長靴(JIS T 8117)
保護靴、安全帯、耐熱服、保護帽、溶接用保護めがね等は作業内容に応じて適宜使用すること。
保護具区分レベル1 呼吸用保護具
防じんマスク:
型式検定合格品であり、取替え式かつ粒子補集効率が99.9%以上(区分RL3又はRS3)
電動ファン付き呼吸用保護具:
型式検定合格品であり、取替え式かつ粒子補集効率が99.9%以上(区分RL3又はRS3)
作業時等
粉じんの付着しにくい作業着、保護手袋等
安全靴 保護衣、保護靴、保護帽、安全帯、耐熱服、溶接用保護めがね等は作業内容に応じて適宜使用すること。
保護具区分レベル2 呼吸用保護具
防じん機能を有する防毒マスク又はそれと同等以上の性能を有する呼吸用保護具
(型式検定合格品で、取替え式かつ粒子捕集効率が99.9%以上(区分RL3又はRS3)であり、有機ガス用のものであること)
保護衣(化学防護服)
通常作業では浮遊固体粉じん防護用密閉服(JIS T 8115 タイプ5)で耐水圧1,000mm以上を目安とする。
直接水に濡れる作業ではスプレー防護用密閉服(JIS T 8115 タイプ4)で耐水圧2,000mm以上を目安とする。
保護手袋
化学防護手袋(JIS T 8116)
安全靴または保護靴 保護靴、安全帯、耐熱服、保護帽、溶接用保護めがね等は作業内容に応じて適宜し使用すること。
保護具区分レベル3 呼吸用保護具
プレッシャデマンド形エアラインマスク(JIS T 8153)
プレッシャデマンド形空気呼吸器(JIS T 8155)*面体は全面型面体のもの
保護衣(化学防護服)
通常作業では浮遊固体粉じん防護用密閉服(JIS T 8115 タイプ5)で耐水圧1,000mm以上を目安とする。
直接水に濡れる作業ではスプレー防護用密閉服(JIS T 8115 タイプ4)で耐水圧2,000mm以上を目安とする。
保護手袋
化学防護手袋(JIS T 8116)
保護靴
化学防護長靴(JIS T 8117)
保護靴、安全帯、耐熱服、保護帽、溶接用保護めがね等は作業内容に応じて適宜使用すること。
保護具区分レベル4 保護衣(化学防護服)
自給式呼吸器内装形気密服(JIS T 8115 タイプ1a)
自給式呼吸器外装形気密服(JIS T 8115 タイプ1b)
送気形気密服(JIS T 8115 タイプ1c)
保護手袋
化学防護手袋(JIS T 8116)
保護靴
化学防護長靴(JIS T 8117)
保護靴、安全帯、耐熱服、保護帽、溶接用保護めがね等は作業内容に応じて適宜使用すること。

Protective
clothing

作業レベルや工法に応じて化学防護服を選択できるバリアーマン®

化学防護服はダイオキシン類が身体に付着することを防止し、作業服に付着したダイオキシン類を外部へ持ち出すことを防ぐために着用します。
着脱手順について理解した上で、1度使用した防護服は持ち出さずに適切な方法で処分して下さい。
ダイオキシン類のばく露を防ぐためには、レベル1~4に分類される保護具区分に応じてバリアーマン®を選択し、適切な化学防護服を着用しましょう。

保護具区分レベルに応じた防護服

※実際の使用環境に応じた選定が必要です。ご利用者の責任で選択してください。

防護服の区分 防護服の種類
レベル 粉じんの付着しにくい防護服 C8050 P3050 P3040 B5540
レベル 通常作業では浮遊固体粉じん防護用密閉服
(JIS T 8115 タイプ5)で耐水圧1,000㎜以上を目安とする。
C8050 P3050 P3040 B5540
直接水にぬれる作業ではスプレー防護用密閉服
(JIS T 8115 タイプ4)で耐水圧2,000㎜以上を目安とする。
C8050 P3050
レベル 通常作業では浮遊固体粉じん防護用密閉服
(JIS T 8115 タイプ5)で耐水圧1,000㎜以上を目安とする。
C8050 P3050 P3040 B5540
直接水にぬれる作業ではスプレー防護用密閉服
(JIS T 8115 タイプ4)で耐水圧2,000㎜以上を目安とする。
C8050 P3050
レベル 送気型気密服(JIS T 8115 タイプ1c)
自給式呼吸器内装型気密服(JIS T 8115 1a)
自給式呼吸器外装型気密服(JIS T 8115 1b)
防護服の区分:レベル1 粉じんの付着しにくい防護服

防護服の種類

C8050  /  P3050  /  P3040  /  P5540
防護服の区分:レベル2 通常作業では浮遊固体粉じん防護用密閉服
(JIS T 8115 タイプ5)で耐水圧1,000㎜以上を目安とする。

防護服の種類

C8050  /  P3050  /  P3040  /  P5540

直接水にぬれる作業ではスプレー防護用密閉服
(JIS T 8115 タイプ4)で耐水圧2,000㎜以上を目安とする。

防護服の種類

C8050  /  P3050
防護服の区分:レベル3 通常作業では浮遊固体粉じん防護用密閉服
(JIS T 8115 タイプ5)で耐水圧1,000㎜以上を目安とする。

防護服の種類

C8050  /  P3050  /  P3040  /  P5540

直接水にぬれる作業ではスプレー防護用密閉服
(JIS T 8115 タイプ4)で耐水圧2,000㎜以上を目安とする。

防護服の種類

C8050  /  P3050
防護服の区分:レベル4 送気型気密服(JIS T 8115 タイプ1c)
自給式呼吸器内装型気密服(JIS T 8115 1a)
自給式呼吸器外装型気密服(JIS T 8115 1b)

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ダイオキシンという環境問題を解決するための除去工事では作業従事者や周辺環境への影響をいかに低減し、防ぐことが非常に重要です。
そのため、幅広い知識と法令や規則に沿ったリスクアセスメントを行い、安全・安心な工事を心がけましょう。

参考

厚生労働省・環境省「廃棄物焼却施設関連作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱(平成26年1月)」

環境省「ダイオキシン類2012(平成24年3月)」